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医ごっそうのコラム茶や!


医療法人 仁泉会「朝倉病院」理事長の医ごっそうコラムです。
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悪霊は何処にでもいる
連日暑い日が続きますが、書中にて暑中お見舞いを申し上げます。
ということで、一時の清涼に今回は夏の怪談をお送りします。

数年前の夏、都内にある老人病院の出来事です。
そこの神経内科病棟には3床の脳卒中専門病棟があり、たまたま60歳代の男性が一人入院しておりました。
その患者さんは脳梗塞でしたが、幸い病状は軽く、日常生活には問題もなくそろそろ退院かという状態でした。

ある日の夕方のことです。
その日も順調に経過し、患者さんも夕食をしっかり食べ、あとは寝るのを待つのみでしたが、検温時にナースが患者さんを見ると、どこか落ち着かない様子です。
「どうかなさいましたか?」とナースが尋ねると、「幽霊がいる」みたいな返事がかえってきました。
驚いたナースが辺りを見回しても、もちろん何もいません。
ナースも少し不気味になりましたが、いつも通りの笑顔で「何もいませんよ、大丈夫ですよ」と対応したところ、「そうですか」と安心した様子でその場は済みました。

ところが、夜が更けるにつれて、患者さんの興奮が増してきたのです。
多弁になり、訳の分からないことを言い出し、盛んに動こうとします。
困ったナースは当直医を呼びますが、会話も噛み合わず、終いには今すぐ帰るような言動のため、眠剤を服用してもらいました。
それでも患者さんはエスカレートし、ついには上半身裸になり、ベッドの周りをウロウロし始めました。
おかげで病室の入り口を閉鎖し、万が一に備えて他の当直医も呼ばれ、安定剤を静脈注射をするかという矢先のことでした。
患者さんが急に眠り始めたのです。
それが奇妙なことに、翌朝にはケロッとして、昨夜のことはまるっきり覚えてないのです。
いわゆる突然の錯乱です。
一体、原因は何だろうか?これが田舎や昔なら、狐憑きや犬神様の祟り、あるいは悪霊が憑りついた事件として扱われてもおかしくないのですが、実際に悪霊はいたのか?病棟の医療エクソシスト達は考えました。

そこで、浮上してきたのが薬です。
調べたところ、昨夜から新たな胃腸薬を服用していたことが判明しました。
その薬はどこでもよく処方される“ガスター”でしたが、何十という副作用の項目の最後の方に、一過性の錯乱という記述があったのです。
そして、その薬の服用を止めてからは、全くその症状はありません。
まさに、その薬が悪霊だったのです。

それにしても恐ろしい話、大の大人をわずか直径数ミリの薬が狂わせたのです。
その威力には脱帽せざるを得ません。
多くの人には滅多に起きる事のない錯乱という副作用が、起きる人には起きるのです。

結局、最後は眠剤という薬に助けられましたが、私達も薬がいかに危険であるかを再認識させられた、真夏の薬怪談(くすりかいだん)の一席です。

涼んで頂けたでしょうか。
えっ?却って暑くなった?何とかしろって?
そっちがもっと“薬怪談(やっかいだん)”
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by asakura_h | 2011-07-30 11:17
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