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医ごっそうのコラム茶や!


医療法人 仁泉会「朝倉病院」理事長の医ごっそうコラムです。
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iPS細胞で思い出すこと(研究者ハードボイルド物語)
京都大学の山中教授がiPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見?発明?で、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。

これで、病気の治癒や若返り等、バラ色の未来を描いた方もいれば、悪用による悪夢の未来を想像した方もいるでしょう。
そう思わせるほどの研究は、ワトソンとクリックによるDNA構造の決定以来ではないでしょうか?

それにしても、研究成果に至る道のりは大変だっただろうと思います。
それは、山中教授と同様に好青年で、神戸大学医学部を卒業、京大の大学院に進学し、記憶の研究をしていた知人を思い出すからです。
彼の話によれば、その当時の(今は違うでしょうが)研究室では女性がおらず、男性中心でたまに数人の女性秘書さんが研究室に来ると、蛇が舌で舐めるように異様な視線を感じて、とても嫌だったそうです。

また京大ともなると、すごく優秀な学生も当然いますが、それがすごく躁鬱が激しく、躁状態で一週間徹夜したかと思えば、翌週は鬱状態で引きこもったままになる学生もいたりして、付き合ってみると大変だそうです。

さらに研究室のディスカッションは、誰が言ったかというのが重要で、自分が心の中で思ったことでも他人が言ったことで成果が出ると、他人のアイデアでやったみたいな言い方をされるそうです。

ただし、あまり自分のアイデアを言い過ぎると、却ってそのアイデアを盗まれることもあるので要注意だそうです。
そんな時は自分が主張したらいいと思いますが、その場合でもよりいいアイデアを加え出されたりするので苦労するそうです。

何しろ研究とは、個人技そのものです。
プロ野球では勝利という目的のためにチームワークも必要ですが、研究は各々がテーマを持ち、より個人が強くなります。
研究室によっては、目標がはっきりしているところもありますが、ただの雑用業務をさせられたりと、それはそれで問題もあります。

だから研究は、個人が自分のアイデアで作り上げるもの、アイデアのぶつけ合いが研究の真骨頂でしょう。
それこそ、「二番ではダメなのか」と言った国会議員もいましたが、オンリーワンの戦いなので、一番しかない世界なのです。
だからこそ、厳しいし素晴らしい成果を出すとも言えるのです。

そして、中には人格が強烈な方もいるようです。
同じテーマの研究をしていた、ノーベル賞を獲得した利根川教授から、「この研究は俺がもうやっている、諦めろ」みたいなFAXが届くこともあったそうです。

知人はまだ三十代後半にして、病気で亡くなってしまいました。
ストレスだったのかな?
今は研究室にも女性が入り、雰囲気も随分と変わっているかもしれませんが、レイモンドチャンドラーの作品の言葉にならえば、研究者はタフでないとやっていけません。やさしさは・・・あったらいいですね。
by asakura_h | 2012-10-20 12:42
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